玉ねぎ水無月

タマネギは六月だ! 宇井純のオランダでのエピソードから着想。 http://blog.goo.ne.jp/raycy/e/f2bdbed27a507e6fd11e4e07fe2d0bb6

国交省資料、「港湾・空港等整備におけるリサイクル技術指針のとりまとめ」平成16年5月10日 より

国交省資料、「港湾・空港等整備におけるリサイクル技術指針のとりまとめ」平成16年5月10日
http://www.mlit.go.jp/kowan/recycle/2/12.pdf

(2) フェロニッケルスラグ
フェロニッケルスラグは、溶融状態のスラグの冷却方法によって、徐冷スラグと急冷
スラグ(水砕、風砕スラグ)に造り分ける。徐冷スラグは礫状を呈し、破砕・ふるい分
けを行う。水砕スラグは水を用いて冷却したもの、風砕スラグは空気を用いて冷却した
もので、いずれも径5mm 以下の砂状であり、発生場所によって粒度が異なる。また、風冷
スラグは水砕スラグに比べガラス量は低いが球形に近い形状をしている。
1) 品質
① 化学組成
フェロニッケルスラグはシリカ(SiO2)とマグネシア(MgO)を主成分とし、徐冷・急
冷のいずれの場合にも主な鉱物組成は安定した結晶構造である。

表2.8.7 フェロニッケルスラグの主な化学成分
単位:%




② 粒子密度と単位体積重量
フェロニッケルスラグの粒子密度は3.0~3.1g/cm3程度であり、一般の中詰砂(2.6~
2.7g/cm3)に比べ重い。
フェロニッケルスラグをケーソン中詰材に利用するに際しての飽和重量の測定実施例
が報告されている。これによるとフェロニッケルスラグの種類によって、若干値が違う
が、水中飽和重量は21~22kN/m3程度である。
表2.8.8 海水中における単位体積重量測定結果例(単位:kN/m3)


③ 粒度
フェロニッケルスラグの粒度は発生場所や冷却方法によって違うが、水砕や風砕スラ
グは5mm 以下で比較的単粒度である。
2.8 非鉄金属スラグ http://www.mlit.go.jp/kowan/recycle/2/12.pdf
図2.8.3 フェロニッケルスラグの粒度分布
[出典:各社の試験結果を編集]


④ その他の品質
フェロニッケルスラグはサンドコンパクションパイルやドレーン材としての適用検討
は行われていないが、銅スラグと同様に物理性状から適用できる可能性があり、力学特
性等を確認する試験を実施している事業所もある。表2.8.9に内部摩擦角、透水係数等の
特性を示すが、内部摩擦角、透水係数は砂と同程度の値を示す。
表2.8.9 フェロニッケルスラグの品質試験結果(例)


2) 適用用途
フェロニッケルスラグの適用用途については表2.8.10に示すとおりであり、コンクリ
ート用の骨材としてJIS 化されており、中詰材としての利用実績も多い。また、徐冷さ
れたスラグは破砕・ふるい分けを行いクラッシャランとしての利用事例がある。ただし、
徐冷スラグが発生する事業所は全国で1カ所のみである。

表2.8.10 フェロニッケルスラグの港湾・空港等工事への適用

3) 周辺環境への影響
① pH
フェロニッケルスラグのpH は、鉄鋼スラグや石炭灰に比べ小さく、事業所で実施し
た土壌実験法による試験でpH=9.3という結果を得た事例がある。
② 有害物質の溶出
フェロニッケルスラグの有害物質の溶出について、各事業所が実施した溶出試験結果
を表2.8.11に示すが、有害物質は検出されないか、検出されても環境基準以下の値である。
なお、フェロニッケルスラグの使用に際しては有害物質の溶出について使用を予定し
ている事業所に詳細を確認し、必要に応じて試験を行うことが望ましい。